春太郎ブログ

お金の“知らない”で損をしない

分からないものにはお金を使うな!〜闇金ウシジマくん フリーターくん編から学ぶ〜

フリーターくん編の宇津井優一の母親から学ぶ人間の愚かさ

漫画「闇金ウシジマくん」は、自制心を養うために有効なツールである。

 

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漫画「闇金ウシジマくん」はいくつかの短編が連なりストーリー展開していくが、その中でも今回はフリーター編について、書きたいと思う。フリーターくん編は、非常に学ぶべき点の多いストーリーである。

 

闇金ウシジマくん(7) (ビッグコミックス)

 

フリーターくん編の話の主人公的な存在は、35歳フリーターの宇津井優一なのだが、今回はその母親である宇津井美津子に焦点を当てたいと思う。

 

美津子は夫が早期退職した不安、息子がフリーターで頼りにならないという二重の不安から、自分でなんとかお金を稼がなくてはという強い気持ちから証券会社にそそのかされて「株の信用取引」に手を出してしまう。

 

「株の信用取引」。株の知識があれば、ど素人が手を出してはいけない領域なのは常識だろう。

 

株の信用取引とは?

株の信用取引とは、

簡単に言うとお金を借りて、自分が持っている以上の資金で株の取引をすることである。取引の資金が増えれば、儲かった時の金額は大きくなる。しかし、その分損失が出た時の損失額も大きくなる。

 

株を自分の所持金で買うだけ(現物取引)であれば、損失が出てもお金を取り立てられることはない。しかし、借金をして株の取引(信用取引)をした際には損失が出た分のマイナス分に加え、借金、借金の利息を取り立てられる。

 

「借金をして株を買うなんて、相当自信がないとできないよね。

 

と皆思うはずなのだが、人間愚かなもんで、よく分かりもしないのに甘い言葉に騙され、株の信用取引に手を出してしまう。

信用取引には2階建て、3階建てもある

株の信用取引では自分の所持金の最大3倍までの取引が可能だ。例えば所持金が100万円であれば、200万円借金して最大で300万円まで取引可能ということだ。

 

さらに「信用取引の2階建て」というやり方もあり、自分の所持金で現物株を購入し、その現物株を代用有価証券(担保)として信用取引することができる。例えば所持金100万円で現物株を購入し、その現物株を代用有価証券として信用取引を行うとことでさらに、100万円×80%(代用有価証券の掛け目)÷30%(委託保証金率)=266万円分の信用取引が可能で、100万円の所持金で366万円まで取引可能になる。

 

さらにさらに「信用取引の3階建て」というのもあり、これはそもそもの所持金を借金で用意する方法である。例えば所持金0であっても300万円を借金で用意すれば、その300万円で現物株を購入し、その現物株を代用有価証券として300万円×80%÷30%=800万円分の信用取引を行い、所持金0で1100万円の株取引をすることができる。

 

所持金0円で1100万円の株の信用取引。

 

客観的に見れば「もう正気の沙汰ではない。」というのは一目瞭然だが、手を出してしまう人が後を絶たないのだから、人間はなんて愚かなんだとつくづく思う。

 

信用取引で大損したZさんの話

信用取引の怖さを実際の例で紹介すると2006年の「ライブドアショック」がわかりやすいだろう。

このライブドアショックが起こる前は、市場全体がアップトレンドにあり、株価はどんどん上昇する傾向にあった。書店には「株式投資で1億稼ぐ」などの煽り系の書籍が山積みされ、初心者投資家が急激に増えていたようだ。そんな初心者投資家でも、株を買えばどんどん株価が上がるため、感覚が麻痺し、なぜか自分には「株式投資の才能がある!」などと勘違いし、信用取引に手を出す初心者投資家も多かったと聞く。

 

実際にこの「ライブドアショック」で大きな損失を出してしまったZさんの話を今後同じような人を出さないための教訓として紹介したい。

 

Zさんは株式投資を開始して約3ヶ月の初心者であったが、市場全体が上昇傾向だったこともあり最初の2ヶ月で資金を3倍にまで増やすことに成功した。Zさんは自分がまだ3ヶ月ほどの株式投資初心者であることを忘れ、

 

「いける!稼ぐなら今だ!自分ならいける!」

 

と根拠のない自信を持ち始めてしまっていた。興奮状態にあるZさんは、慎重な判断をできるわけもなく、ついに信用取引に手を出してしまう。

 

「稼ぐなら今だ!借金をしてでも今投資すれば大きく儲けられる!」

 

人間はお金に目がくらむと全くと言っていいほど冷静な判断ができなくなる。

そして、

 

そのとき、特に勢いのあったあのライブドア株を1000万円の資金を元に、信用取引で3000万円分、6万株を手にいれることになるのである。

 

購入当初は順調に上がり続けていた株価だったが、

ついにその日は訪れた。2006年1月16日。

証券取引法違反容疑で、東京地検特捜部がライブド本社などに強制捜査を行い、これを受け翌日から地獄のような株式市場の暴落が始まる。(これがいわゆる「ライブドアショック」である。)

 

翌日から連日のストップ安で、売却しようにも全く売れず、Zさんは、最終的に寄り付いた1株155円で強制決済。2070万円もの損失、1070万円の借金を負ってしまう。

株式投資を始めてから約5ヶ月で1000万円の資金を失い、1070万円の借金を負ってしまったのである。

さらにこれが、信用取引の2階建て、3階建てだったらと思うとゾッとする。(実際にそのような人は存在し、大きな損害を出している。)

分からないものにはお金を使うな!!

本来、株式市場なんて、いつ何が起こってどうなってしまうかわからないものである。知識や経験豊富な株式投資のプロでさえ「わからない」と言っている。そんなものに5ヶ月たらずの知識も経験もない初心者が元手を超える借金をしてまでチャレンジするなんて正気の沙汰ではない。

 

「分からないものにはお金を使わない!」

 

漫画「闇金ウシジマくん」フリーター編の母親の話を通して学べる教訓は、まさにこれである。

 

こんなの当たり前のことと思うだろう。例えば服屋に行って、服屋の店員に「あなたに似合いますよ」「これを着たら人気者ですよ」「今なら安いですよ」「期間限定ですよ」といくら言われても肝心のその服がどんな服なのか分からなければ買わないはずである。

 

しかし、お金が儲かるとなると人間、正常に判断できない人が出てくるのだから分からない。人間の愚かさは「お金儲け」とは切っても切り離せないものだろう。

 

あの有名な投資家ウォーレン・バフェット氏も言っている

 

Risk comes from not knowing what you're doing.

リスクはあなたが何をやっているか理解していない時に起こる。

(ウォーレン・バフェット)

 

ウォーレン・バフェット氏は世界長者番付の常連でありながら、ハイテクバブル時にハイテク関連株を一切買ってこなかったことは有名だ。その理由は当然「ハイテク関連企業がよく理解できないから」という理由だ。株価が上がっていたとしてもその企業の強みが何なのか?で5年後、10年後どんな企業になるのか?自分が理解できないものには投資をしない。至極当たり前のことのようだが、投資の世界ではなかなかこれができないのだから人間は難しい。

 

「分からないものにはお金を使わない!!」

 

何かものを買おうとしたときには、この言葉を思い出して欲しい。そうすれば大きな過ちを犯さないで済むかもしれない。

 

 

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お金は大事だよ

春太郎