春太郎ブログ

お金の“知らない”で損をしない

老後資金が不安なら、85歳まで働いてみたらどうか?【人生100年時代】

将来は不安かもしれないが、地に足をつけて考えて行動しないといけない

「少年よ大志を抱け」とはよく言ったもんで、なかなか若い世代が夢を描けない世の中になってきている。

下図は、皆さんもご存知の日本の年齢別人口の推移予測である。2060年には15〜64歳の人口は4418万人まで減少するのに対し、65歳以上の人口は3464万人と大きく変わりなく、高齢化率は約40%と全人口の約4割が65歳以上という未来が待っている。

 

 図:年齢別人口の推移予測

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引用:総務省|平成29年版 情報通信白書|期待される労働市場の底上げ

 

こんな未来を見せられて、あっけらかんと希望に満ちた顔をして、大志や夢を純粋に若い世代は描けるのだろうか?

年金受給年齢を引き上げられたり、そもそももらえる年金額が減ってしまうのではないかという若い世代の中で将来のお金の不安、老後資金への不安が高まっているのは当然のことだ。

 そして、若い世代はこんなことも思い始める。

「今までの大人と同じやり方をしていたのではダメだ!企業に就職して、定年まで勤め上げれば幸せな老後が待っていたのは親の世代まで、自分たちはもっと違うやり方をせねば!!」

そんな中で、急速に発達するITを活用して、年齢関係なく、個人で一攫千金を稼ぎ出すことも可能になってきた。将来なりたい職業ランキングの上位に「YouTuber」がランクインするようになったのもこういった背景があるからだろう。

早期リタイアを望む人々も増えてきている。 とにかく、早めにいっぱい稼いで、お金の不安から、老後の不安から逃れてしまいたいというのが若い世代の本音だろう。(私もそう思っていた。)

しかし、そんなに簡単にうまくいかないのが人生である。

いくらインターネットが発達して、誰でも一攫千金を狙える時代になったとはいえ、一攫千金を稼げる人など一握りである。

将来に対する様々な不安があると思うが、焦らず、一旦落ち着いて、冷静に、地に足をついて現実的に考えていく必要がある。

人生100年時代、老後資金はどのぐらい必要?

まずは、老後資金はどのぐらい必要になるかを把握しよう。総務省の家計調査年報(2017年)によると高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上の2人暮らし)の家計収支は下図のようになる。

 

図:高齢夫婦の家計f:id:mharutaro:20190512103506p:plain引用:総務省統計局ホームページ/家計調査年報(2017年)

 

つまり、年金だけでは足りない「不足分」が月間54519円、約6万円出てくることが分かる。

厚生労働省の「平成29年簡易生命表」によると、2017年の男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳。となるので、65歳まで働いて、85歳まで生きるとすると65歳〜85歳の20年間(240ヶ月)で6万円×240ヶ月=1440万円が必要となる。

ただし、医療は発達し平均寿命は伸びており、2045年には平均寿命が100歳まで伸びると言われている。

よって、100歳まで生きるとすると65歳〜100歳の35年間(420ヶ月)で6万円×420ヶ月=2520万円が必要になる。

この他にプラスアルファでかかってくる費用としては、介護費用、葬儀費用がある。

介護費用については、生命保険文化センターの調査によると、一時的な費用が平均80万円、月間平均7.9万円かかっているという。また、平均的な介護期間は59.1ヶ月となっており。介護費用は平均で80万円+(7.9万円×59.1ヶ月)=546.89万円ということで、約550万円がかかるということになる。

葬儀費用については日本消費者協会の「葬儀に関するアンケート調査(2016年)」によると1人あたり平均196万円かかっているようだ。よって、夫婦2人だと約400万円かかることになる。

となると、これらに加え余裕資金としては500万円程度を考えて、85歳まで生きるとすると1440万円+550万円+400万円+500万円=2890万円、約3000万円。

100歳まで生きるとすると2520万円+550万円+400万円+500万円=3970万円、約4000万円かかる計算になる。

 

<65歳以降に必要な老後資金>

85歳まで生きるとすると約3000万円

100歳まで生きようとすると約4000万円

65歳でリタイアしていたら大半の人がお金が足りなくなる

老後資金がどの程度必要かがわかったところで、実際に60代がどのくらいの貯金をしているのかを見てみよう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査:平成30年)」によると、

60代の貯金額の平均は2202万円で中央値は1500万円になる。

85歳まで生きるには約3000万円、100歳まで生きるには約4000万円。

全然足りない。

80歳、85歳まで働ければ老後資金の不安はなくなる

65歳でリタイアしていたら資金が全然足りないのはわかった。では、もし65歳以降も80歳まで働いて月間15万円の所得を得たとして考えてみよう。そうすると年間で180万円。65歳〜80歳までの15年間で2700万円得ることができる。非常に馬鹿にならない。

もしこれを夫婦2人で各々月間15万円の所得を稼いだら、2人で65歳〜80歳までの15年間で5400万円。65歳のときに貯金がゼロでも100歳まで老後資金は余裕で足りることになるのである。

さらに85歳まで働いたとしたらどうだろう。そうすると65歳〜85歳までの20年間で3600万円。夫婦2人で7200万円になる。

 

<65歳から月間所得15万円稼いだ場合>

80歳まで働いたら2700万円の所得

夫婦2人で80歳まで働いたら5400万円の所得

夫婦2人で85歳まで働いたら7200万円の所得

 

85歳まで働くのであれば老後資金の不安なんてなくなるのだ。

85歳まで働くことにはメリットがいっぱい!!

さらに、働くことで、その他下記のようなメリットがある。

 

<働くことのメリット>

  • 人とのコミュニーケーションが増える
  • 刺激が増える
  • スキルが身につく
  • 体が鈍らず、健康的で長生きしやすい
  • 頭を使うからボケにくい
  • 今日用がある嬉しさ、行くところがある楽しさ
  • 亭主元気で留守がいい
  • 会社、家庭での存在感、頼られる
  • 頼られる、期待される、役に立つ喜び、達成感、生きがいが得られる
  • 社会との繋がり
  • 趣味も充実

など

 

現役で働いている人については、働くことをマイナスに捉えている人が多いと思うが、それは当たり前に働いているからであって、

働かなくなると「働くこと」のメリットが非常に多いことに気づくようだ。

リタイアした人たちに話を聞くと、リタイア直後は、何もしない時間をゆっくり過ごしたり、旅行に行ったり、ゴルフに行ったり、自由な時間を満喫できるようだが、やっぱり、ちょっとすれば暇を持て余し、物足りなさを感じてくるようだ。

そして、段々と人との接点も少なくなり、スケジュール帳はまっさらになり、何もやることはなくなる。家に引きこもりがちになって、体も鈍ってきてしまう。人とも接せず、社会との繋がりも薄れ、頼られる機会や期待される機会もなくなり、達成感や生きがいも失われていく。

そんな生活を続けていくと、結局改めて働いてみたくなる人も多いようだ。そして、そうなって初めて「働く」とはどういうことなのかに気付く人もいるらしい。

以前、下記記事でも書いたように、人間は本質的には「生きがいのため、やりがいのため、達成感のため、世のため、人のため」に働きたいのだ。

harutaro.hatenablog.jp

85歳まで働くために今からやっておくべき15のアクション

ただし、リタイア後にふといきなり働こうとしても働き口は限られるだろう。せっかく働くのであれば、自分の今までの経験やキャリアを生かした仕事につきたいと思うのは当然だと思うのだが「一回リタイアした、ブランクのある高齢者(体力や気力、即戦力感に不安)」では、就職先の選択肢は狭まってしまう。

また、今の会社でずっと働き続けることができるかというとそれは難しい前提で考えておいた方が良い。長い年月をかけて会社は生き残りをかけてビジネスモデルを変えたり、もしかすると倒産してしまうかもしれない。

そして、今の会社が倒産せずに生き残っていたとしても、日本には今のところ定年という理不尽なルールがあり、60歳または65歳になったら、まだまだ働けると本人は思っていても退職しなくてはいけない。(一般的に「定年」というと、皆からお祝いされて、めでたいことのように考えている人も多いと思うが、見方を変えてみれば「解雇」である。若い社員よりもパフォーマンスは低いが、給料は高い社員を年齢を理由に解雇するのである。通常、企業が従業員を解雇しようと思うと、非難や抵抗を受けたり、なかなか一筋縄にはいかない。それを定年というルールがあることで、堂々と解雇することができるのである。実は、定年制度はアメリカやカナダ、イギリス、オーストリア等では禁止されている。年齢差別ということで禁止になっているのだ。)

そんな前提に立って、

65歳以降も選択肢を持って、自分の経験やキャリアを生かした仕事や、やりたい仕事を続けるためには、継続的に自己研鑽を積み重ねる必要がある。

そして、

一つの会社に依存することなく、いつの時代でも社会から必要とされる人材でいられるかが重要なのである。

それでは、85歳まで働くために、いつの時代でも社会から必要とされている人材でいられるために、意識的にやっておくべきことはなんなのだろうか?

長く働くために重要な要素は大きく分けて5つと考える。

「健康」、「体力」、「気力」、「知力」、「経験力」。

まずは「健康」でないと始まらない。そして「健康」かつ「体力」がないと働けない。その上で、何かをやろうとする精神力「気力」や、様々な仕事に関わる知識などの「知力」そして、今までのキャリアで積み重ねてきた「経験力」が重要である。

では、それらをいつの時代でも高齢になっても保ち、高め続けるためには、日頃からどのようなアクションを取っておく必要があるのか。それは下記の15のアクションだと考える。

 

<85歳まで働くための15のアクション>

  • バランスの良い食生活
  • 良質の睡眠を確保する
  • 有酸素運動
  • 筋力トレーニング
  • 体のストレッチ
  • 病気を予防する(定期検診、人間ドッグなど)
  • 新しいことにチャレンジする
  • 常に新しい情報を取り入れ、発信する
  • 何事も前のめりで、楽しむことを意識する
  • 喜怒哀楽を楽しむ(人生は喜怒哀楽があるから楽しい)
  • 社交的な生活を送る
  • 時代に合わせて求められるスキル・知識を磨く
  • 今の仕事から学べることを最大限に学ぶ
  • 人生の目標を決め、計画を立てた上で、上記アクションを行う
  • 副業も行い、不労所得を得る努力も行っておいた方がよい

 

上記のアクションは各々が独立したものではなく、各々が連動している。例えば有酸素運動は健康的な体を維持するだけでなく、記憶力を維持したり頭脳を鍛えるためにも重要(有酸素運動は、加齢により萎縮する記憶中枢(海馬)を肥大させるという研究報告があったりする)。また、新しいことにチャレンジすることで、チャレンジ耐性がつき、時代に合わせたスキルや知識の習得への気力に繋がり、人付き合いが苦手な人でも社交的になれ、脳の衰えも抑えることができる。

そして、これらのアクションは、しっかり自分の人生の目標や計画を立てた上で、実行していくことをおすすめする。改めて、自分がどんな人生を送りたいのかを考えた上で、その人生を送るためにはどのくらいの費用が必要なのかを計算し、そのためにはいつまで働く必要があるのか、そして、なんで自分は働くのか、働くとは何なのかをしっかりとこのタイミングで考えてみてほしい。そうすれば、自分がやるべきことは自ずと明確になるはずだ。

ちなみに、私は、現時点では40代あたりで会社の役員もしくは、分社化した会社の社長になりつつ、将来を見据えた副業を行い、ゆくゆくは会社での経験と副業を融合する形で自営業的な形を取り85歳頃もしくは100歳頃(生涯現役)まで働きたいと考えている。生涯現役でいくのであれば自営業がもっとも良いと思うが、その準備には長い年月がかかる。会社で培った人脈は会社を離れると意味のないものになってしまうことも多い。早い段階から自営業の準備を副業的にやりつつ、最終的には副業を自営業に繋げる形でもっていくことが理想と考えている。

85歳まで働くことを考え始めると、自然とポジティブになれる

長生きして、長く働くことを意識し始めると気持ちの持ちようが大きく変わる。自分は今まで、「アーリーリタイアしたいな」とか、「60歳になったら定年か」とか「65歳まで働かないといけないかな」とか、長く働くことに対してネガティブに考えていた。しかし、人生100年時代ということで、自分の人生に向き合い、改めて働くとは何なのか、自分はどんな人生を送りたいかを考え直してみたところ、今では長く働くことに対して非常にポジティブな感情を持っている。

そして、上記のアクションを実行するなかで、今ではむしろ「長く働こうとしないなんて、なんてもったいないんだ」という考えに至っている。

自分の人生を自分でデザインし、自分で作り上げる。

今のうちから生活習慣を整え、自己研鑽し、人生最後までやりたいことをやり続ける。人に必要とされ、頼られ、時には悲しみ、時には喜び、時には怒る。歳を取ることなど恐れず、歳をとることを楽しみ、老後資金の不安もなく、将来への不安もなく、あるのは将来への自らがどうなりたいかの情熱と希望のみ。

もう一度、長い目線で、自分の人生100年スパンで考えてみよう。そして、自分の思う通りに生きてみよう。85歳まで働いてみるのも悪くないのではないだろうか?

 

最後にこんな動画があったので、貼ってみる。


美しすぎる85歳現役モデルのカルメン・デロリフィチェが語る「はたらく」とは?

 

お金も大事、自分の人生も大事。

春太郎