春太郎ブログ

お金の“知らない”で損をしない

生命保険業界のタブーを書く!知らずに騙されないためには必須の知識。

生保営業によって刷り込まれた「保険は難しくて分からないものだ」という思い込み

先日、「保険の3つの基本形」について書いたが、この基本形に近い商品であれば、誰でもちょっと勉強すれば理解できるということは前の記事で書いた通りだ。

 

harutaro.hatenablog.jp

 

しかし、実際に生命保険に入っている人の大半は、自分が入っている保険の内容をちゃんと理解していない。よく分からないものに生涯かけて約1000万円ものお金を払っているのだ。

 

よく分からないのに、生命保険に入ってしまう主な要因は前回の記事で紹介した通り下記だが、大半の要因は、保険の営業に刷り込まれた「思い込み」である。

 

<よく分からないのに生命保険に入ってしまう主な要因>
  • 保険は入って当たり前という思い込み
  • 保険は難しくて分からないという思い込み
  • 貯蓄にもなっているという思い込み(貯蓄できている場合もあるが、自分の入っている保険を理解できてないと、本当に貯蓄できているか分からない)
  • 月々1万円くらいなら良いかという金銭感覚の麻痺(20〜30代では1万円くらいかもしれないが、50代超えると月々6万円くらいまで上がったり、しかもこれ毎月の固定費だからね!!)
  • 保険営業の強力な営業力
 
そんな思い込みの中でも、最も問題となる思い込み「保険は難しくて分からない」という思い込みについて、深堀してみたいと思う。

 

なぜ、保険は難しくて分からないと思い込んでしまうのか?

なぜ、自分の入っている生命保険が理解できてないのか?なぜ、保険は難しくて分からないという思い込みが強いのか?その理由は一つだ。

 

生保営業がやたら複雑なセット型保険商品を勧めてくるからだ!

 

保険の3つの基本形通りの保険であれば分かりやすいはずなのに、この基本形を組み合わせて、カスタマイズして、こねくり回してみたいなセット型の保険商品ばかり勧めてくるから、「保険って難しい!」となってしまうのだ。

 

実際に日本人が入っている生命保険は大半が「定期付終身保険(定期保険特約付終身保険)」か「利率変動型積立終身保険(アカウント型保険・自由設計型保険)」のどちらかであり、この二つの商品はパッと見、かなり複雑で分かりづらいセット型の保険商品である。

(これらの商品は日本国内の大手生命保険会社が注力して売ってきた商品である。外資系の生命保険会社は比較的複雑な商品を売らない傾向にはある。その理由は後ほど)

 

日本人の約9割がこのセット型保険に入っている

「定期付終身保険(定期保険特約付終身保険)」か「利率変動型積立終身保険(アカウント型保険・自由設計型保険)」について、簡単に説明すると各々こんな感じである。

 

定期付終身保険(定期保険特約付終身保険)とは

定期付終身保険とは、下図のように、ちょっとした終身保険を主契約として、がっつり保障の定期保険が特約についた保険商品。
 
大半の保障を担保しているのは定期保険で、定期保険は更新時に保険料が高くなっていくので、入った当初は安く見えても、だんだん保険料は高くなっていく。
 
終身保険の保険料の支払いが満了する60歳か65歳で定期保険を更新しようとすると80歳までの保険料を一括で支払うことになっている場合が多く、実質更新できず、一番死亡リスクが高くなる時期に残ったのはわずかな終身保険という感じになってしまっている。
 
図1:定期付終身保険とは

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利率変動型積立終身保険(アカウント型保険・自由設計型保険)とは

利率変動型積立終身保険(アカウント型保険・自由設計型保険)は、最終的には定期付終身保険とほぼ同じと言える商品なのだが、ちょとひとひねりしてさらに複雑に感じる保険商品に仕上がっている。
 
主契約部分は将来的には終身保険に繋がる積立部分となっており、保障部分は全て特約となります。保険料を支払うとそれが専用口座(アカウント口座)に入金され、保障部分と積立部分にどのようにお金を配分するかは契約者が自由に決めることができる。口座に積み立てられたお金は、払い込み期間中も自由に引き出すことが可能で、保険料の払込期間満了後はその時点の積立金を元にして、終身死亡保障、終身医療保障、終身介護保障、一時金等を選択して移行することができる。
 
つまり、生命保険会社に預金して一部を定期保険に回すって感じで、最終的には定期付終身保険とほぼ同じになるという商品。
 
図2:利率変動型積立終身保険(アカウント型保険・自由設計型保険)とは
 

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ちなみに主契約・特約とは?
主契約と特約の関係は「メイン」「オプション」言い換えると分かりやすいですね。
  • 主契約=メイン(単体で契約できる)
  • 特約=オプション(主契約に追加するもの。単独で契約できない)
 

生保営業がセット型保険を勧めてくる理由(※生保業界のタブー

では、なぜ、生命保険の営業(特に国内大手生保の)がやたら複雑なこのようなセット型の保険商品を勧めてくるのか?それは下記の通り。

 

<生保営業(特に国内大手生保の)がやたら複雑なセット型の保険を勧めてくる理由>

  • 営業の報酬額が高いから
  • 生命保険会社の利益が増えるから
  • 契約者が詳細を理解することができないから→利益率の高い商品を売りつけられる。騙すことができる。

 

これを見て分かる通り、一切お客さんのことを考えて生命保険を案内していないことがよく分かると思う。中にはお客さんのことを考えて営業している営業もいるかもしれないが、それかなりの少数派。

 

彼らの大半は、自分たちの利益のために、よく分からない保険を売りつけて、契約者を騙し続けている。

 

本来、生命保険は各々のライフプランニングに合わせて入るべきものであるはずなのに、日本人の大半が同じような保険に入っているという結果からみると、生命保険会社はお客さんのことを考えていないといっても過言ではない。

 

さて、それでは、上記のセット型保険を勧める理由の詳細を書いていこうと思う。これは生命保険業界のタブー情報だ。

 

国内大手生保の営業の報酬は保障額によって決まる!?

実は、大半の国内大手生保の営業の報酬は保障額によって決まる。つまり、少ない保険料で保障額の高くなりやすい定期保険が入っている保険を勧める傾向にあり、さらにいろいろ無駄な保障も付ければ保障額は上がっていくので、積極的にそれらが含まれるセット型の保険を勧める傾向にある。

 

生保営業は完全歩合制のところも多く、契約を取ることに自分の生活がかかっている。他人の生活より、まずは自分の生活というのが本音だろう。

 

ちなみに外資系生保の営業の報酬は保険料で決まるところが多い。そのため保険料が高くなりやすい終身保険を中心として勧めてくることが多い。(外資系生保は、上記のような国内生保のセット型保険をバッシングしながら営業をかけているため、セット型保険を堂々と勧めることができない。)

 

生命保険会社は定期保険で利益を上げている!?

生保会社としては、貯蓄性の高い商品(終身保険養老保険)よりも掛け捨ての商品(定期保険)の方が利益が出るため単体だと人気のない掛け捨て保険(定期保険)を貯蓄性の高い商品(終身保険養老保険)と組み合わせてセット型保険として売ろうとしている。

 

ちなみに、日本の生命保険加入者は生涯平均約1000万円の保険料を払って、実際に受け取っている額の平均は約190万円程度らしい。

 

日本人の60歳までの平均死亡率は約3%だ。60歳までの定期保険の保険料は、約97%の確率でその名の通り「掛け捨て」になるということを自覚しておくべきだろう

 

利益のために「よくわかないけど必要、安心」という商品を作り出すことに必死!?

生命保険会社は「よく分からないけど必要、安心」という商品を作り出すことに日々尽力している。なぜなら実態は上記の通り「よく分かると不要、不安」となるような商品を積極的に売っているからだ。つまり、よく分かられては困るのである。複雑でよく分からない利益率の高い商品が出来上がれば、あとは「必要・安心」と思わせるような営業トークスクリプトを一緒に用意して、積極的に営業をかけていくのみだ。

 

「よく分からない」状態を利用して「逆ザヤ」を解消した国内生保の歴史

さらに、この「よく分からない」という状態は生命保険会社が窮地を脱する時のリスクヘッジとしても働く。実際に、バブル崩壊後、国内生保が「逆ザヤ」に悩ませれていた時期にこの「よく分からない」という状況利用して、逆ザヤを解消をしていったのだ。

 

生命保険会社は契約者からもらった保険料を運用(投資等して)することで、資金を増やすという活動をしている。「逆ザヤ」とは「実際の保険会社の運用実績 < 契約者に約束した利回り」ということを意味する。つまり、契約者に約束した利回りのことを「予定利率」というのだが、実際の運用実績がその予定利率をバブル後下回り、生命保険会社が損をし続ける状態に陥ったのだ。

 

その際に誕生したのが、上記の利率変動型積立終身保険(アカウント型保険・自由設計型保険)だ。バブル崩壊後の10年余り、過去の高予定利率契約を順次アカウント型保険に切り替えていくことで、ほとんどの「逆ザヤ」状態は解消されたと言われている。

 

つまり、契約者が自分の保険内容を理解していないことにつけこんで、保険の見直しを口実として、低い予定利率になることもさほど伝えず、よりリスクヘッジできるわかりづらい保険へ言葉巧みに切り替えさせていったのである。

 

「よく分からない」状態を利用して利益を増やし続ける生保営業

ちなみに、このような保険の見直しを口実により、生保の利益を増やすような営業は日々行われている。やり方としては、「逆ザヤ」解消の際にも使われた方法で、今まで加入していた保険の解約返戻金を頭金にして新たな保険に加入しなおさせるという方法である。これを「転換」と言う。

 

この転換を行うことによって、今と同じ保険料で保障額が増えたり、今よりも安い保険料で保障額は変わらずみたいな話をしてくるが、今まで保険料を払ってきた現在の保険を解約して、その解約返戻金(積み立て金)をその新しい保険の保険料に充てているだけだ。つまり結局自分で保険料を負担しているのと変わらず、最終的に保険会社が払う金額が少なくなっているということが大半だ。

 

さらに言うと、もう勘が鋭い方はお分かりだと思うが、転換をすると生保営業にも新規受注と同等の報酬が入る。よって、更新の時期や新しい商品がリリースされるなどするとここぞどばかりに転換の提案をしてくる。あなたのことを考えての転換の提案は少ないと思った方が良い。

 

 知らないと絶対に騙される生保!複雑なセット保険はとくかく疑え!

生命保険で騙されて、損をしないためには、生命保険の仕組みを知ることだ。前回書いた通り、「基本の3つの形」が理解できれば、どんな保険もこの基本形の組み合わせにすぎないことが理解できる。それだけでも「保険は難しくて分からない」という思い込みから解放されるだろう。

 

生保営業は知らない人を良いカモだと思っている。生保営業が成果報酬の完全歩合制の限り、他人の生活よりも自分の生活なのだ。生保営業の言葉を簡単に信じてはいけない。

 

とにかく、騙されないためには、生命保険の真実を知ることだ。そして、「保険は難しくて分からない」という思い込みから解放され、保険の仕組みを知ることだ。難しいことではない。今からでも遅くない!

 

今回の情報がみなさんの今後の人生に少しでも役に立てば嬉しい。

 

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春太郎
 
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